キーワード辞典
ドリルと穴の話-ツールと目的-

登録日 13/11/14   更新日 13/11/14



その1

マーケティングに関する有名な話。
人はドリルが欲しいのではなく、ドリルによって開けられた穴が欲しい。
その穴は、人によって必要な大きさや形が違うだろうし、穴を必要とする目的も違うだろう。
だから、人は、ドリルの使い方を把握した上で、 自分の目的に合った、使い易く、性能の良いドリルを選択する必要が有る。


人は、Excelが欲しいのではなく、Excelによって得られた結果が欲しい。
人によって求めるものは違うだろうし、その値を必要とする目的も違うだろう。
その為に、人は、Excelの使い方を把握した上で、 自分の目的に合った、様々な関数を取捨選択し組み合わせて使う。


人は、プログラムが欲しいのではなく、プログラムによって得られた結果が欲しい。
人によって求めるものは違うだろうし、その結果を必要とする目的も違うだろう。
その為に、人は、プログラムの特性を把握した上で、 自分の目的に合った、様々なアルゴリズムを取捨選択し組み合わせて使う。

人は、プログラムによって、データを処理しようとする。
どの様なロジックやアルゴリズムを使ったら、効率的に処理が出来るだろうか。
その為に、人は、必要なロジックやアルゴリズムを取捨選択し、組み立て、プログラミングし、 それを元にコーディングする。


人は、言葉によって、相手に伝えようとする。
どの様に話したら、相手に理解して貰えるだろうか。
その為に、人は、様々な言葉を取捨選択し組み合わせて使う。
それは、「言葉」を理解して居ないと出来ない。



しかし、現場の教諭は、Excelにおいて、課題で処理している内容の意味や、 何故其処でその関数を使うのか、何故関数でその範囲を指定するのか、何故その数式になるのか、さえも一切説明せず、 生徒自身が自分が何を作成しているのか理解出来ていなくとも、 ただ単に予め用意された完成品の見本通り指示通りに表とグラフを作成する事を 最終目的(出来たらお終い、次の課題へ)にするから、 「小中学校や普通高校と同じ事をやっている」と揶揄されるのは、当たり前のこと。 いや、現在では、小中学生や普通高校でやっている事よりも、もっと訳が悪いのかも知れない。

重要な事は、実務において、 どのツールを使い、どの様にすれば、最も効率良く、最も判り易く、 自分の問題を解決出来るのか、を、その時々で、的確に判断し、ツールを使いこなす能力。

今の商業教育に無いのは、コレだと思う。


何故、それをしないのか。理由は簡単。
そんな目に見えない能力の体験をさせるよりも、
現場でインチキ馴れ合いな検定の合格者を多く出した方が教諭の評価が上がるから。

でも、世間もそんな検定に白けている、という事は、
知り合いの何人かの技術者と酒を呑むと、直ぐに判る。



('13/11/14 記す)





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