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現場の教諭に好都合な「プログラミング教育の『目的』」

登録日 12/08/03   更新日 16/10/06

 現場の教諭に好都合な「プログラミング教育の目的」  エラーを出すということ  何故、間違いかということ
 思考の出し入れということ


大昔から彼方此方で、何度も何度も書いているネタなのだけれど、 最近、また、新学習指導要領の教科「情報」絡みで彼方此方で話題になっており、 愈々商業科が周囲から見放されている、と実感する事が多いので、何度目かのリニューアル。

因みに、「プログラミング教育」を「商業教育」に置き換えても、違和感が無い。


現場の教諭に好都合な「プログラミング教育の『目的』」


その1:検定に合格すると進路に有利、n冠達成、学校の宣伝、教諭の評価

商業科においては殆ど常識になっている主張。
検定合格が学びの「成果」では無く、完全に「目的」になっている為、 プログラミング自体はどうでも良いし、きちんと教える気も知識も無いから、適当、不正、インチキ三昧。
詳細は、 「検定」の項を参照。


その2:↑+達成感、人づくり

これも、商業科においては殆ど常識になっている主張。
商業科の教諭は、何においても、これを目的に持って来る事が異様に多い。
教諭自身が科目自体の目的を明確に確立しておらず、目的に従ってきちんと教える気も無いから、 適当にやって「達成感」「人づくり」で誤魔化す。 「達成感」「人づくり」の否定では無く、 教育自体が「人づくり」であり、生徒に「達成感」を持たせる事は、 全ての教科の指導において当然の事であって、 それを殊更に目的に持って来るのは本末転倒の極み。

1つの課題に対して、 様々なアルゴリズムの中から幾つかの最適なものを選択する、のは良いと思うけれど、 コードがスパゲッティでも何でも、時には仕様を無視した見かけだけのインチキでも、 動いた、出来た、達成感! なんて、何の学びを目指しているのだろう、と、物凄く思う。 こういう教諭は「ファシリテート」を勘違いしている。

詳細は、 「達成感」「ファシリテータ」「人づくりという評価」 の項を参照。


その3:論理的な思考力・問題解決能力・課題発見能力の育成

確かに、そういう一面は有るだろうし、「達成感」で片付けられるよりはマシだけど、 では、他の教科には「論理的な思考力~」は無いのか?




私が思う、(教科「情報」の)プログラミング教育の『目的』


コンピュータ、ソフトなければ、ただの箱、コンピュータはソフトウェアで動かしている、の、実体験。 コンピュータやネットワークの仕組み、発想、特性、長所と短所、得意不得意、などを、 プログラムを通して、理解、確認するということ。
日常を含め、コンピュータに処理をさせる為のフローやアルゴリズム、エラーやリスクなどを考える力を付けること。

スマホ、タブレット、など、コンピュータやネットワークはどんどん日常に入り込んで来ている。 それらの機器を使いこなす為には、その仕組みや特性、長所や短所などを理解しておく必要が有るが、 コンピュータの仕組みを講義で漠然と聴いても、そんなに理解出来るものではない。 しかし、実際にプログラムを試行錯誤して作成し動かしてみる事で、 コンピュータの仕組みや特性、 或いは、例えば 「コップの果汁を入れ替える3つの方法」 の項の様な発想などを体験する事が出来ると思っている。 昔風に乱暴に言えば「論&RUN」。 例えば、私はCOMET/CASLで本格的なプログラムを作ろうとも思わないが、 成人がコンピュータの仕組みを理解、確認するには良く出来ていると思う。 小学生なら、最初は Viscuit、複雑な事をしたくなったら Scratch、などになるのか知らん。

勿論、興味関心の有る生徒が、さらに本格的なプログラムが作成出来る言語を習得する事は 非常に良い事であり、また、その学びの基礎としてきっと役に立つだろう。




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